特定非営利活動法人 土壌環境再生支援機構 「設立趣旨書」

最近の社会的動向

近年、有害物質による土壌・地下水汚染が顕在化し、国内で浄化が必要な汚染土地は32万カ所以上で、その調査・修復費用は13兆円という試算もなされている。これらの多くは、産業活動の負の遺産とも言えるものである。こうした状況を背景として、その対策を適正に行うべく、我が国で初めての汚染土壌に係る包括的な法律として「土壌汚染対策法」が立法化され、2003年2月から施行となった。この法律制定を契機として、2003年1月の不動産鑑定評価基準改正で土壌汚染が鑑定評価項目に追加されたこと、会計制度に於ける減損評価の動きの他、経済のグローバル化により欧米を含む土地売買やM&Aに伴うリスク回避を背景として土壌・地下水汚染調査・対策は、急増するものと考えられる。

法体系整備後の問題点

しかし、この分野で初めての体系的な法律である土壌汚染対策法施行から間もないこと、汚染状況は地下の見えにくいところの問題であることも原因となって、一度問題が発生すると、大きな影響を含んでいるにもかかわらず、現状は土地所有者・事業者・土地取引関係者・自治体関係者の他、土壌汚染の直接被害を受ける可能性のある一般市民の関心は必ずしも充分なものと言えない。また、土壌・地下水汚染は、地下における目に見えにくい部分での問題でありかつその調査・浄化についての法的手順や技術に専門性を要するため、依頼者は、この調査・修復対策に対して、費用は多大であるにも係わらず、調査修復会社にゆだねるのが一般的状況になっている。この調査・浄化対策事業には、そのサービス供給者として新たなビジネスチャンスを求め多くの企業が参入をしており、土壌汚染対策法で定められた指定調査機関は、2003年5月現在884社にのぼる。各社の調査・対策は、各社各様のサービス売り物にしているが、一般にこの分野の専門性を持たない依頼主がそのサービスの質・コストの妥当性を客観的に評価・判断することは難しい。需要と供給における供給側の専門家の意見に従わざるを得ない供給側優位の情報・技術ギャップの大きい関係になっている。調査・浄化対策コストは非常に高く時間も要するので、こうした事を背景として、調査・対策に対する不信感を招き、さらには訴訟問題に至ることも予想される。結果的には、適切な土壌汚染対策措置が行われることに悪影響も懸念される。

当NPOの存在意義

また、土壌汚染問題は、土地の経済価値低下・経営への影響などを懸念して秘密裏の内に解決したいとの認識があり、事態が表面に出しにくく、土壌汚染の懸念を持つが法的・技術的に対応できない当事者が、調査・浄化対策をどの様に行うべきか等思い悩む事も予想される。このため、市民も含む関係者の土壌汚染問題と土壌汚染対策法やその他の汚染リスクが正しく認識される事が重要である。また、土壌・地下水汚染のリスク回避を望む土地所有者・事業者・自治体等による土壌・地下水汚染問題解決に向けた促進のためには、これらの組織等の立場に立ち、かつサービス供給者と対等な専門性をもって、具体的なケースでの「法律」、「技術」、「費用」、「関係者リスクコミュニケーション」等について相談・助言・指導できる組織が望まれる。また、具体的な土壌・地下水汚染対策結果の妥当性評価の他、関係する指定調査機関の信頼性・適正等の評価や訴訟問題に於ける客観的な評価の出来る組織も望まれる。

当NPOの事業活動

こうした状況の中で、本非営利活動法人は、主として岡山県内の土壌汚染問題を抱える市民・事業者・自治体・団体などの関係者へ、次の事項の土壌汚染問題解決に向けた支援活動により、土壌・地下水汚染問題の解決の促進し、公益の増進を図る事を目的とする。

@土壌・地下水汚染調査・対策に係るセミナー・講演会の提供や出版物等を通じた啓発活動を行う。

A土壌・地下水汚染調査・対策に関する技術情報の調査・収集・公開

B土壌・地下水汚染に関する「法律」「技術」面の専門的立場から相談・助言・指導を行う。

C土壌・地下水汚染調査・対策結果の評価を行う。

D土壌・地下水汚染調査・対策事業を行う企業・組織・機関の評価

上述@〜Dの啓蒙・相談等の事業は、利益目的の会社事業によりも特定非営利活動法人が適当と判断した。尚、主として岡山県で得られたノウハウなどは、近隣地域との交流を通じ更なる展開も視野に入れる。

(章題は補足説明)